君に初めて出会った時のことを思い出そうとするとそれは記憶すらもおぼつかぬ程の遠い昔であったようで まるで僕が生まれた時より一千万年も昔から君は空の彼方で雲を抱えて星と戯れていたみたいだし どこにいて何をしている君の姿にも僕には確かに見覚えがあるのは 僕と目が遇うと君が決まって頷くように首を一寸傾けてゆっくりと瞬きをしてそれから不思議な微笑みを浮かべ乍ら軽く会釈をしてみせたからで もう随分と以前からずっと僕が探し続けていたような愛しい微笑みだったけれど僕は確かにもう随分と以前からずっとそれを眺めているみたいで 気付くと君は別段変わった様子も無しにひどく自然に流れるようにしていた仕草を続けているんだ 一体どこで出会ったのだろうかと遠い記憶を手繰り寄せ乍らも僕は君と出会うことがずっと以前から決まっていたんじゃないかと考えはじめていて 跡切れ跡切れに取り巻く風がしだいに僕の空を埋め尽くして爆発の前の緊迫感すらゆらゆら僕を揺らしていたから 言葉を交わした瞬間に君が風のように空高く飛んで行ってしまうなんてこと思いつくこともできないし 微笑む君の瞳の奥を僕は懐かしいようなあたりまえのような不思議な気持ちで眺めていたんだ 素敵だ君は そんな小さな予感の通りにこの僕を隅から隅まで完璧に変えてしまった 君による僕の心の支配はそのまま神経を鈍らせ感覚を溶かして体を硬張らせたまま僕の奥底にまで滲み込んでしまったよ