後日譚 始発ちゃん個展2023

Copyright 2023 始発ちゃん

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最初、始発ちゃんからうちの画廊で個展をやりたいと希望があったときはちょっとびっくりでした。というのは、「えっ、こんなとこでいいの!?」というのが率直な気持ちだったのです。

ただ、タイミングとしてはちょうどよい時期でした。

というのは、そもそもが実家を基に画廊を始める端緒となった画家(その方は安東さんと言います、詳しくはこちらのリンクから御覧ください)の方が今年の三月に他界され、それを期に画廊に少し手を入れようと思っていたのです。

そこへ始発ちゃんの個展開催ですから、少し手を入れるどころじゃなくなり、壁を塗り直し、風呂場を物置として使えるように片付け、階段を塗り直し、展示室の柱を椿油で磨きと、毎日コツコツと手を入れていきました。

たしか、10月の頭には始発ちゃんから個展開催の話があったので、そこから(自分としては)猛スピードで、毎日仕事が終わると深夜まで、土日は一日中あれをやり、これをやりとしていくのですが、なにしろ建ったのが昭和44年です、手を入れると他のアラが目立ち、永遠に終わらないんじゃないかとガックリと膝を折ることもありました。

そしてどうにかこうにか、個展開催の週にはなんとか納得の行くところまで整えました。
(この頃はペンキと絵の具が手について落ちず、紙やすりで指紋も消えTouchIDで認証できなくなりました)
すると今度は個展用のグッズなどが続々と届き始めます。

ほぼ毎日、なにかしらが届くので配達の人と顔見知りになりました。
(そしてたいてい重いのですよ、この荷物、2階へ上げるのに難儀しました)
始発ちゃんのブログに出てくるカレーは14日木曜日から作り始めました。

豚バラを七輪で炭焼きにし、落ちた脂で燻された肉と白菜の芯、玉葱、セロリ、人参のすりおろし、にんにく、生姜、SBのカレー粉、隠し味に横須賀海軍カレー直伝の妙を入れてあとは炭火にかけただけです。

なにしろカレーは作った翌日が旨いですからね。

そして迎えた12月15日金曜日、いよいよ展示搬入です。

始発ちゃんも自分も展示には慣れているとはいえ、作品すべてを箱からだし、まずは展示のスタイルと順番を決めていきます。

そこから鋲を打ち、仮展示、並びや間隔、世界観を考え、少し一服しクールダウンしてから並びの調整、額を吊るす紐を調整して高さが揃うようにしていきます。並行して、始発ちゃんはタイトルインデックスを書いていきます。

一通り展示を終えて、紐は一晩経つと多少伸びるので明日朝に微調整した後、水準器で水平を出して、ご来場者様をお待ちするところまでたどり着けました。

最初は展示にイーゼルを使おうと思っていたのです、そのほうが楽なので。ただ、それだと狭くなり、また、作品の見せ方としては安っぽくなってしまうので、すべてを壁からの展示としました。

多分、金曜日の展示が終わったのが夜中に近かったと思います。そこからスタッフと伴に始発ちゃんを宿まで送り、翌日に備えました。

お越しいただいた方はお分かりいただけたかと思いますが、ご予約時に人数制限を設けたのはスペースの都合でした。

上手く入退場できるかなと案じていましたが、皆さんとてもマナーが良く、スムースな入れ替えが出来たことは、ご協力に感謝申し上げます。

そして展示が始まってしまえば、我々としては手の出しようがありません。あとは作家さんの独壇場です。ただ、ただ、見守るのみでした。

展示期間中のエピソードは始発ちゃんのブログに詳しいのでそちらを御覧ください。

そして最終日、最後のスティントが終わると、一息つくまもなく撤収です。
作品を外し箱に仕舞うまでは作家さん以外、手を触れることは禁物です。
お求めいただいた作品、お借りしている作品が何点もあり、万が一があってはいけないですから。

被せ箱に作品が入ったら、我々もお手伝い。
梱包が終わった順に始発ちゃんが伝票を書き、下へ降ろします。
途中休憩をしながら、ようやく出来たよぉと、終わった時間は多分相当遅かったと思います。

翌月曜日、集荷をお願いした宅配業者の方が荷物の量を見てびっくり。
荷台に乗り切らないので、出直してきますと、すべての集荷が終わったのが14時頃でした。

自分はずっと下で受付をしていたので、展示中の様子は何も知らないのですが、丁寧にサインを書いたり、お子様連れの方にはサラッと似せたイラストを描いたりしていたと他のスタッフから聞きました。

清潔で身綺麗は丁寧に繋がると言います。
丁寧であるということは人の誠実さがさせているものだと感じています。
そして、誠実であるということは生きる姿勢であると思います。

始発ちゃんのデッサン力、画力など、絵画制作の基本はもちろんですが、丁寧で誠実であるということが、始発ちゃんの人気が高い理由のひとつなんだなと改めて感じた三日間でした。

皆さまの暖かいご支援で、ほのぼのと和やかに始発ちゃんの個展を終えることが出来ました。
ありがとうございました。