車木工房

車木工房は岡村印刷工業株式会社の文化芸術活動を支える拠点として、同社の本社敷地内にあります。場所は奈良県、明日香に近い斉明天皇陵の北側に位置していて、その庭からは斉明天皇陵を借景として望むことができます。

お邪魔したきっかけは、当画廊の画家の作品で原画をお求めいただいたあと、その作品の複製でもいいのでなんとかならないかというお問い合わせを頂いたことがきっかけでした。そこで、複写をしていただける、いわゆるジクレーの制作に秀でたところを探していて、とある日本画家の方から教えていただいたのが車木工房でした。

最初はメールと電話でやり取りをさせていただいていたのですが、これからお世話になることを考えると一度ご挨拶をということで伺いました。 奈良駅からクルマで一時間程度走ると到着です。まずはお茶をということで一杯いただき、早速、工房の中を案内していただきました。最初はリトグラフの機械や工程を伺いました。上のものはイタリア製のリトグラフ用の機械です。 石灰岩を削り出したものに作家が下絵を描いて、それを職人の方が版を起こし何版も制作していくそうです。版の数は作家の方の画風、色の感じなどを考慮し決めていかれるそうです。これが基となる石灰岩を削り出した板、というにはあまりにも厚く重い。手で持ち上げ運ぶことはできないので、床の上をずりずりと引きずって作業台の上に乗せるそうです。そのため、床の材質は木材の中でも硬いと言われている栗の木で張られています。 そして、版をいくつも重ねるのでインクが乾くの待つ間、作家が休むためのスペース。 作家の方によってはその時間を使って手遊びで陶芸をされる方もいるそうで、敷地の中には窯まで整えてあります。工房内にはかつての総理大臣、細川護熙さんの作品も展示されていました。 庭の隅には作品にならなかったのでしょうか、こういうものも佇んでいました。 庭にはかなり立派な桜の木があり、春夏秋冬を愉しめる様相です。縁側?も充実していて、ここで一服しては制作に取り組む作家をバックエンドから支える充実した環境です。 工房の入口にかかっている名札。こちらで制作をされた作家の方々ですが、どのお名前を拝見しても日本を代表する方ばかりで恐れ入りました。